実際に休職・退職をした人の声を伝えるシリーズ「休職している時の過ごし方:お金・生活・時間の使い方」では、実際に休職や退職を経験した方の声を体験談として紹介していきます。
今回は20代でエンジニアとして働いていたKさん(仮名)にインタビューを行いました。
Kさんは双極性障害Ⅱ型の診断を受け、1年半ほど休職した後、リワークに通い復職されたご経験があります。
Kさん、今日はよろしくお願いいたします。
はじめまして。数年前に休職した体験をまとめましたので、誰かの手助けになればと思います。
自己紹介と状況について
どんな仕事をしていましたか?
年齢は23歳で、Webサイト制作の仕事をしていました。
休職のきっかけになったことを教えてください。
うつ病(後に双極性障害Ⅱ型に診断変更)と診断されました。
仕事に支障があった症状は主に以下のとおりです。
- 集中力低下(自分が何をしていたか一瞬でわからなくなりぼーっとしてしまう)
- 文章が読めなくなる(どの行を読んでいたかわからなくなり、読んだ内容も頭に入らない)
- 言葉が出てこない(次に言うべきことや単語を頻繁に忘れて10秒以上会話が止まる)
- 不眠症(昼間にぼーっとすることが増えた)
今までできていたことができなくなるストレスもあり、常にイライラしていました。
この状態が半年ほど続き、改善しなかったため休職しました。
休んでいる間のお金のこと
休職中の生活費はどのようにしていたのでしょうか?
傷病手当金を申請し、貯金もあったので崩しながら生活していました。
生活で工夫したことを教えてください
まずはスマホの料金プランを下げました。
サブスクを解約したりなど、何にどのくらいお金がかかっているかを全体的に見直しました。
「知らなくて困った」もしくは「知って助かった」制度はありましたか?
自立支援医療制度がとても助かりました。
億劫だったので復職後の申請になりましたが、自分の収入では医療費も薬も無償になりました(かかりつけの心療内科と薬局のみ)。
まずはやっておくと安心なことはありますか
最初はお金の計算をすると良いです。
傷病手当金は月給の3分の2程度の支給で、そこから社会保険などが引かれた額が手取りになると考えます。
そこから固定費の額を把握し、何にいくらかかっているのか明確にするだけでも安心感が違います。
また上記で挙げたように、自立支援医療制度の申請は、できれば一番はじめに行うのがおすすめです。
休んでいる時の時間の使い方
休職して最初の頃はどのように過ごしていましたか?
とにかく何もできなかったので、ただ寝たり、横になってぼーっと過ごしていることが殆どで、他には動画を見たり音楽を聴くことも多かったです。
週末以外は家から出ない日も多かったですが、寝起きの時間だけは守っていたので昼夜逆転せずに過ごせました。
体調が落ち着いてからやったことはありますか
気力がある時はいろんなことを少しずつやってみました。
ハンドメイドでアクセサリーを作ったり、ボールペン字のテキストやセルフネイルなどはよくやっていました。
また、朝日を浴びるのがいいと聞いたので、朝起きたらすぐに近所まで歩いて15分間ベンチに座って日光浴をしてすぐに帰るということを続けていた時期もありました。
「何もしない時間」も必要だったのでしょうか。
回復した今では、全て回復に必要だった時間だと思っています。
「何もしなかっただけの期間」と思うこともありますが、だからこそポジティブに捉えることが大事です。
休職している間に感じたこと・気づいたこと
休むことに罪悪感や焦りなどはありましたか?
最初の頃は早く復職したいという焦りがかなりありました。
休職して半年後に一度復職したのですが失敗し、そこからは諦めがついて、休むことに集中できました。
休むことで周りの人の目が気になることはありましたか?
幸い、会社では理解があったのであまり気になりませんでした。その点はすごくありがたかったです。
「休んでよかった」と思える瞬間を教えてください。
現在、生活や仕事がとても安定してできていることを実感するときです。
休職には色々な苦労がありますが、無駄なことは一つもないと思っています。
人より少し遠回りしますが、得られるものはたくさんあると思います。
これから休職する人、休職を考えている方へ
今働いていて、休職を考えている方へメッセージをお願いします
急に仕事をしない・身の回りのことをしない、などというのはとても勇気がいることですが、病気の症状のために「したくてもできない」状態になってしまうのは仕方のないことです。
ですが、自分が今一番すべきことはなにかを考えてみてください。
無理して仕事を続けることより、回復のため休むことに専念するほうが合理的な場合もあります。
最後に、今、つらさを抱えている方へひと言お願いします。
「時間がかかっても必ず回復する!」です。
大変な状態の渦中にいるときはどうしても自分を客観視することが難しいですし、復職したあともすぐに100%の状態に戻るとは限りません。
ですが回復のために必ず必要な過程が「休む」ことだと思っています。
体の疲労は休まなければ絶対に回復しないし、睡眠なしで生活できる人がいないのと一緒で、心の疲労も休む必要があります。
回復具合は目に見えないので実感が難しいかもしれませんが、自分の小さな変化を記録して可視化する工夫もよいと思います。
回復のスピードや必要な時間は個人差があるのであまり気にせず、自分のペースでゆっくり休むことを選択してみてはいかがでしょうか。
Kさん、今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
仕事を長期で休むことは勇気がいりますが「全て回復に必要なこと」と考えると受け入れやすいと感じます。
回復には時間がかかることも、それだけ時間が必要なのだと考えることもできます。
今回お話の中で出てきた「自立支援医療制度」は心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
詳しくは厚生労働省のWebサイトを確認ください。
厚生労働省:自立支援医療制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html